話し方教室をやっていますと、何と多くの人たちの聞く能力が十分でないんだろうということに気がつきます。
もちろん、なかには聞く能力のすぐれた方もいらっしゃいます。しかしほとんどの人が、他(ひと)の話の半分も聞いていれば
いいほうで、自分の話したいことや雑念に意識がいっているように思われます。
いや、実は私もそうだったんです。話し方教室で学ぶまでは
人の話を聞くという能力はまるでダメでした。

話す、自分を伝えるということも、もちろん大切ですが、人の話に耳をかたむけるということはそれ以上に大切で大事ではないでしょうか。
人の話を聞かない人が、自分の話をする資格はありません。
人生の悦びは人との出会いですし、その出会いを充実させるのが語らいですね。人の話をよく聞いてあげるということは、
その人を信頼し、受け入れ、許すというひととしての高い心の行為が含まれています。
そして人は自分の話をよく聞いてくれる人を好きになります。
私たちをとりまいているよき話やよき教え、よき考えは話すという行為よりほとんど聞くという行為から入ってきます。感動を憶えるのも人の話を聞いたときです。
また人の表情は、話しているときより熱心に聞いているときの方が美しく感じます。それは夢中になって聞いているときには、忘我の境地となり内面の知性が精一杯働いているからでしょう。
聞く力を身につける、これこそが、最高の《生きかた上手》と言えるんじゃないでしょうか。では、私はどうしてまがりなりにも聞く力を身につけたのでしょうか。
《聞く能力を高める》、この方法は一つしかありません。
それは、
話を聞いてあげようと決意することです。すべてはそこから始まります。